
オステオスペルマムは不眠症
数ある園芸植物の中でも、なかなか名前を覚えてもらえない筆頭選手が、【オステオスペルマム】ではないかと思います。しかも、とってもよく似た植物には【ディモルフォセカ】もあり、これもまた覚えてもらえない筆頭なのではないかと思います。
名前は覚え難いし言いにくいのですが、どちらも春の花として大人気です。人気の植物ですので品種改良も世界各地で行われ、毎年新しい色や形が誕生しています。この色や形というものは、パッと見てわかりやすいので誰からも注目されますが、一方で内に秘めた性質というものはなかなか分かりづらいものです。ですが、この内に秘めた性質の改良は観賞植物として楽しむにあたりかなり重要になります。
オステオスペルマムもディモルフォセカも、昼間はパッと大輪の花を咲かせますが、夜は花を閉じて夜露や寒さから花の内部を守ります。これは実にうまくできた自然の仕組みではあるのですが、少し太陽が陰るだけで花を閉じてしまっては美しい花を楽しむことが出来なくなってしまいます。ですので天気が悪くても花が閉じない性質にどんどん改良が進み、特に最近のオステオスペルマムではその効果が大きく出ています。
日本でも世界に先駆けてこの閉じない品種改良には大きな役割をしていて、今から数十年も前に一日花が咲いているというオールデイブルーミングな品種としてピクニックシリーズが作られています。その作り方は実に地道なもので、毎日たくさんの花を観察しては咲いている時間を記録し、咲いている時間の長い株からまた種子を採り、そこからさらに咲いている時間の長いものを選び出すといった具合だったそうです。
オステオスペルマムにしてみればこの改良は迷惑かもしれないもので、人工的に作られた不眠症の品種とも言えますが、夜も寝ないでお祭り騒ぎをするものが人に好まれ、世界中に広まっている訳で、この変化する力もうまく出来た自然の仕組みの一つと言えるかもしれません。
