楽しもう、ジャパニーズ ラナンキュラス
「ジャパニーズサムライ」
「ジャパニーズニンジャ」
「ジャパニーズラナンキュラス」
最初の2つは聞いたことがある言葉だと思いますが、最後のラナンキュラスという言葉は聞きなれないかと思います。実は、日本のラナンキュラスは世界的に見て独自の進化を遂げており、外国で紹介するときに、他国のものと区別する意味で、この言葉を使うことがあるのです。
ラナンキュラスの原生地は、中近東からヨーロッパ南東部です。
品種改良はラナンキュラス・アシアティクスという、たった1種の野生種を使って海外で原型は作られました。海外で改良された品種を元に、日本人が長く改良を続けているうちに、気付いたら他国のものと区別できるものに変貌していたのです。
違いに気づいたひとつのきっかけは、海外への切り花輸出です。
日本産の切り花は、世界の水準と比べてどうしても高くなりがちで、価格だけでは海外の競争に勝てませんが、ラナンキュラスは驚きをもって受け入れられました。まず注目されたのは、圧倒的な品種の多様さです。花の形や色など誰でもすぐに違いが分かります。
しかし、ジャパニーズラナンキュラスが最も特徴的だったのは、その品質の違いにあります。茎の丈夫さ、花もちの良さは海外の人にはっきりと認知されています。
更にごく小さな蕾で出荷された切り花が巨大輪を咲かせる、その変身ぶりも驚かれたようです。
他国で生産されたものは、小さな蕾で収穫すると咲かないので大きく開いてから出荷する必要があり、どうしても日持ちが悪くなってしまいます。
近年は、日本の衰退の話題ばかりが目立ちますが、国産のラナンキュラスを見かけた際には、そんな世界に誇れるものだと思っていただけると、気分も明るくなるのではないでしょうか。
ラナンキュラスは、秋に球根を植え付けて春に咲き、葉が枯れたら球根を掘り上げて保存し、再度秋に植えて…といったサイクルを繰り返すものでした。
これは改良に使われた、たった1種の野生種がそういう性質をもったものだったからで、その手間は煩わしいものでした。
その後品種改良を重ねた末に誕生したのが、一度植え付けたら一年中葉が無くならず、数年植えっぱなしで良いという、革命的に育てやすいジャパニーズラナンキュラス、”ラックス”シリーズでした。
長い間たったひとつの野生種のみから改良が続けられていたラナンキュラスに、新しい野生種を取り入れるという挑戦の結果でした。
今後も益々進化し続けるジャパニーズラナンキュラスから目が離せません。