優しい気持ちになるお手伝い
私が小学生中学年ぐらいの時だろうか、台所で父と母がフラワーアテンドさん(以下、フラアテ)のことを話している姿を昨日のことにように覚えている。その内容は、お客様のことを思い、会社のことを理解し、丁寧に対応して下さっているというものだった。
当時、夏休みなどの長期休みだけ会社で長いホウキを持ちながら、花茎の切りくずを掃除する青臭い見習いには、内部事情など知る由もなかった。
それから30数年の時を経た今、あらためてその意味が解る。世間では、ラスト・ワンマイルという言葉がある。これは運搬業界で良く使用されるのだが、最終拠点からお客様へ商品やサービスを配達することを意味している。リレーで言えば、最後のアンカーと言ったところだ。それまでに繋がれたバトンは、最終走者に手渡され、確実に、しっかり大きな責任とともに無事ゴールラインを越えなければならない。それは、とても大切なミッションだ。
花の定期便(地域版)では、各ご家庭・職場までフラアテさんが丁寧に配達をしてくれるおかげで、忙しい毎日にささやかな小休止が生まれ、心と身体のバランスを保つのに一役買っている。また私は常日頃、多くのお客様から頂戴したお電話やハガキなどを通じて、心の豊かさを抱かれたお客様が多いことを感じている。そしてそれは、フラアテさんも同様だと感じている。お花を丁寧にお客様にお届けすることで、皆が優しい気持ちになるお手伝いをしてくださっているのだと。大袈裟に聞こえるかもしれないが、本当に、そう感じ、感謝の念しかない。
そう言えば、亡くなった先代の父は、人情の人だった。人とヒトの関係性を、誰よりも大切にしていた。そのような意味において、フラアテさんが生産者や日本総合園芸の抱き想いをお客様に繋いでくれる姿は、とても酷似している。
宮沢賢治さんの「雨にも負けず」のように、毎日の心模様は決して晴ればかりではない。そして、AIやIT技術が進化した時代においても、決して変わることはない普遍的な人とヒトの繋がりから生まれる一途な感情。この場をかりて伝えたい言葉がある。
いつもありがとうございます。