パンジーとビオラは何が違うの?

パンジーとビオラは何が違うの?

パンジーとビオラは何が違うの?

ずばり「花の大きさ」です。花の大きいものがパンジー、小さいものがビオラというわけです。ただ、私がまだ小学生だった30年も前であれば大きさの違いは歴然としており、この説明で納得いただけていたと思うのですが、令和のこの時代では話はそう簡単ではありません。

パンジーとビオラは植物学的には同属

そもそもパンジーとビオラはヨーロッパ各地に自生するビオラ属の野生種を何種類もかけ合わせた同じ祖先から作り出されたもので、植物学的には同じものなのです。言うなれば大型犬と小型犬程度の違いに過ぎないものを、園芸を楽しむ上で区別してきただけなのです。そして、パンジーとビオラは自由自在にお互いを交配して次の世代を咲かせることができます。これが令和時代のパンジーとビオラの関係を複雑なものにしている原因なのです。

どんなものにも長所と短所はあるもので、パンジーは豪華ですが咲く花の数ではビオラには及びません。一方ビオラは成長が早く長期にわたって次々と咲いてくれますが、やはり一輪の豪華さではパンジーにはかないません。30年前ではなんとなくそれはそれで仕方ないと思われていたように思いますが、やはりそれでは満足できない気持ちが我々人の中にあったのでしょう。両者が自由に交配できることを利用して新品種が作られ始めます。

「パンジーの巨大輪という特徴」×「ビオラの長くたくさん咲く性質」

パンジーとビオラは何が違うの?

それぞれの際立った特徴や性質は少し弱まるものの、どちらも兼ね備えた「ハイブリッド種」の誕生です。私が初めて目にしたのはまだ学生だった20年ちょっと前のことで、“ナチュレ“というシリーズでした。その開発を大学の先輩がされていたものですから、大学の集まりで同窓の人たちからその目の付け所を褒められていたことを覚えています。

たねあかしをすれば簡単なはずのこの組み合わせは当時としてはとても画期的でした。
その後同じようなアイデアで次々にパンジーとビオラのハイブリッド種が発表され、現代ではパンジーとビオラを区別することは難しくなりました。とは言ってもそもそも植物学的には区別などないわけで、これはこれで良いのではないかと思うのです。

ここ数年私が気に入ってお勧めしている“よく咲くすみれ”というパンジーとビオラのハイブリッドシリーズは、「すみれ」という商品名が付けられているせいでパンジーなのかビオラなのか聞かれることがよくあります。
そんなときは「中輪パンジー」という比較的新しい名前が便利なので使ってみたりしています。